床下換気システム開発理由

床下換気扇
外部からの取付例(外付け)

日本の住宅建築の主体である木造住宅を含めて建築物の寿命が非常に短命になっており、相反して建築コストはアップしています。


さらに家財である畳、絨毯、家具等の補修にも大きな費用を要しており、従って床下の改善を図り住宅寿命を大幅に延長させる商品を開発することが省資源化を目指す国策にも貢献することが期待できます。

木材は伐採後200年は強度が増し続けます。この本質を生かし寿命を大幅に延長させるためには、住宅環境の改善が重要です。

床下換気の目的は通風

床下の湿度を下げることが目的ではなく、通風効果により、床下をより自然の環境に近づけ、木材の寿命を延ばすことが1番の目的である。

通風による効果は?

  • 木材の乾燥効果が得られる
  • 腐朽菌、カビの発生を防ぐ
  • 不快害虫の繁殖条件を低下させる
木造住宅の床下
腐朽した束柱

住宅換気の必要性

木造住宅の耐久性が劣化する原因には、物理的要因によるものと、社会的要因によるものとがあります。

物理的要因として、まず挙げられるのは、構造材の劣化ですが、この原因は腐朽菌と白蟻の二種類があり、社会的要因には、環境の変化が挙げられます。
たとえば、自分の家を建てた当時は、まわりが畑で日当たりも風通しも非常によかったとします。

ところが、その後10年、20年と経つうちに、隣り近所に家がどんどんできてきたり、朝日が入っていた東側にマンションが建ち、日が当たらなくなった部屋ができて、住みにくくなってしまうこともあります。

社会的要因によて、家の耐久性がなくなってきたというときの対処のしかたですが、それには建て替えるか、増改築するかどちらかしかないようです。
増改築の場合の注意としては、それを行うことによって、家の部分的な寿命がアンバランスになり、寿命が短くなってくることがないようにすることです。

たとえば床下の換気が悪くならないようにするなどの配慮はもちろん、居住性に対しての配慮も必要です。
従来、風通しのよかった部屋が風通しが悪くなったり、日当たりがよかった部屋が日当たりが悪くなったということも、増築によって出てくることがありますので、十分に配慮していただきたいものです。

物理的要因によって家の耐久性に寿命を感じてきたときに、その寿命をどういうふうに延ばすのがいいかといえば、要するに維持管理をきちんとする以外にありません。
木材そのものの寿命は大変長く、たとえば国産の針葉樹の場合、切ったときから200年位までは年々強度が増加していき、それを過ぎてから徐々に弱くなり、約1000年位で切ったときと同じ強さになります。

ただしこのような長い寿命が木材に出るのは、適当な温度と湿度と、腐朽菌や白蟻に対する処置をしっかりしていたときに限られます。
換気も維持管理には欠かせません。床下換気口は、どの家でもついているはずですが、何かの拍子にふさがれているのに、それに気づかない方もいます。

地方に行きますと家のまわりや軒下に、たくさんのマキなどを積み上げているのを見かけますが、それで換気口をふさいでしまっています。
地方でなくとも、後から改築してテラスをつけたために、換気口をつぶしてしまっているという家もあります。いずれも床下の換気が非常に悪くなり、土台が腐りはじめたという例が少なくありません。

最近の住宅は寿命が短命になっていると言われていますが、その大きな原因は、以上のような物理的・社会的な要因ともに共通する住宅の大敵、湿気と換気不足によるものだということがわかります。

床下換気扇
床下からの取付例(内付け)

床下換気の効果は含水率でわかる

床下換気の効果を数字でみる場合は、必ず木部もしくは畳の含水率を確認します。
一般的にはどうしても床下湿度を判断基準としたいところですが、湿度は常時変化するものであるため、正確な数字がでません。

理由としては、床下換気は床下の空気を排出させることによって外気を取り込み、床下内を換気させるものであり、特別な熱処理や除湿をさせ湿度自体をコントロールするものではないからである。

しかし、床下内の湿度とは別に、床下内の空気の流れによる乾燥効果が得られます。(例をあげると梅雨時に室内に洗濯物を干しても無風状態であれば乾燥しにくいが、扇風機などで風の流れをつくれば乾燥効率がアップするのと同じ原理です。)

雨天時の運転についても、運転を停止させる必要はなく(床下湿度自体も変化がほとんどない)、逆に通風効果によって不快害虫の繁殖条件を低下させることができる。

畳の含水率の推移

床下換気により、床下木部の含水率は低下し、連続運転で2週間程度で15%以下になった。

雨天時における床下湿度変化グラフ

雨天時に運転しても、床下内の湿度はほとんど変化しない。

先人の知恵に学ぶ風通し

茅葺の家

本来、日本の家屋は高温多湿の気候に合わせ、自然や季節との調和を考えた知恵の結集でした。床下に注目してみると、高さを十分にとり、現在のような布基礎に囲まれることのない開放的なつくりでした。

その結果、季節を通しても適度な湿気、適度な乾燥の繰り返しで木材が長持ちする環境が整っていたのです。

健全な環境づくりには、床下をどうするかがとても大切です。このことは、天井裏も例外ではありません。

住まいの健康はまず、床下・天井裏から。私たちは本当に必要な住まいの快適さを考えたうえで、忘れられようとしている先人の知恵に学ぶことから発想しています。