直階段からかね折れ(L字)階段へ変更
昔の住宅の直階段について
昭和の時代に建てられた住宅には、直階段(ちょくかいだん)が一般的に多く採用されていました。当時は、室内のスペースが限られた住宅が多く、階段が占めるスペースを最小限に抑える必要があり、直階段はスペース効率の高い選択でした。また、美的な要素や快適性は現代の住宅よりも二次的であり、単純な直階段は基本的な機能を果たすために十分であると見なされました。
高齢化にともない住み馴れた住宅の直階段は危険な構築物となっています。その危険性についていくつかのポイントを挙げてみましょう。
- 急な階段
昔の建物では、階段の傾斜が急だったり、段差の高さが不均一だったりすることがあります。これは、転倒や転落の危険を増加させる要因となります。 - 手すりの不備
昔の建物では、手すりが設置されていなかったり、十分な強度や高さが確保されていなかったりすることがあります。適切な手すりがない場合、階段の利用者が支えを持つことが難しく、安全性が低下します。 - 滑りやすい
直階段の段差や手すりが滑りやすい素材でできている場合、湿度の高い日には滑りやすくなり、けがをするリスクが増加します。
以上のように、直階段は単純な構造を持っていますが、転倒やけがの危険性が高い場合があります。安全に利用するために、今回、当社では直階段をかね折れ(L字)階段へ改修工事を行いました。
平面図の比較と改修工事のポイント
図面の通り、1階の廊下から上る直階段を、リビングから上ることができるようにかね折れ階段を配置しました。
今回の住宅改修工事における改善点は第一に階段の改修ですが、快適性を求めその他の改善ポイントを下記にまとめました。
- 段差の解消、バリアフリーへ
- 中央の和室、縁側を解体して広いLDKに変更
- 断熱性UP!床にスタイロフォームの敷き込み、窓に内窓(インプラス)の取付け
- 空間を動きやすくするため、建具の交換
段差の解消、バリアフリーへ
1階の生活空間の全ての床をバリアフリーへ改修しました。最大18mmもあった段差もきれいに解消しました。バリアフリー改修工事は、住宅をあらゆる人々にとって快適かつ安全な場所に変えるための重要な部分です。
中央の和室、縁側を解体して広いLDKに変更
窮屈に感じる和室4.5畳と縁側の壁、床を解体し広く開放された空間へ生まれ変わりました。間口を広げたダイニングからリビングへ続く空間は梁補強を施し強度を補いました。
断熱性UP!床にスタイロフォームの敷き込み、窓に内窓(インプラス)の取付け
新しく作成した床組みにスタイロフォームを敷き込み、掃出し窓3ヵ所、腰窓2ヵ所には内窓(インプラス)取付したことで断熱性が向上しました。
空間の動作向上と採光のため、建具の交換
バリアフリー改修工事に伴い建具の大半を入れ替えました。元々は開き戸が多くありましたが、お客様のご要望に加え設計要件に応じて引戸を多く採用することになりました。
打合せと仕様の確認
平面図をパース図へ
パース図は、建築やデザイン分野で広く使用される図面の種類です。パース図は、物体や建物を立体的に表現し、視覚的な情報を提供するのに役立ちます。
パース図を使用することで、設計の正確性を確認できます。デザインの不備や問題点を可視化し、修正するのに役立ちます。建物や製品の外観を詳細に検討し、改良の余地を見つけることができます。
仕様と建具の確認
平面図に仕様を書き出すことは、建築や設計プロジェクトにおいて非常に重要です。仕様書は設計の詳細な要件や指示を提供し、建設者や関係者がプロジェクトを正確に理解し、実行するための基準を提供します。
直階段の改修工事
今回の改修工事の目玉である上の写真の直階段をかね折れ(L字)階段へ改修しました。その工事過程を写真で見ていきましょう。
解体、撤去工事
解体工事では、バリアフリーにするため、既存の床を捲り根太を全部撤去しました。また、LDKの空間を広げるため、LDKと和室の間仕切り壁を、1階天井をフラットに統一感を出すため天井板を解体しました
床組、フローリング工事
床組の作成では、和室をかさ上げし全体の床のレベルを調整します。せっかく床を捲ったので、断熱材スタイロフォームを根太の間に隙間なく敷き込みました。
かね折れ階段作成工事
直階段から、かね折れ階段にすることで階段の段数が増えるので、1階の天井の高さを気にしていましたが、天井を切りかくことで空間を確保したのでストレスなく上り下りが出来ます。階段下の空間を有効に活用するため収納スペースとして棚を取り付けしました。また、物の出し入れをしやすくするために、収納扉を2ヵ所、設けました。
1階リノベーション完成
1階リノベーション工事の完成です。かね折れ階段は住宅に違和感なく馴染んでいます。廊下の部分が以前は採光がなく暗かったので、リビングの大きな掃出し窓から入る光を取り入れるため、壁面に採光窓(FIX窓)を取付けました。
最後に
今回のリノベーション工事はお客様の住みながらの工事のため、空き家と違って工期を1週間程長めに計画していました。
1階LDKを含む生活に不可欠な空間の改修工事でしたので工事期間中、お客様には2階を主に生活場所としていただきました。直階段の解体後の数日間はハシゴで上り下りしていただくこともあり、40日間は何かとご不便な生活を強いられながらも気持ちよくご対応いただいたことに感謝申し上げます。
DATE
構造 | 木造軸組 2階建住宅 | リフォーム総面積 | 50.16㎡(15.2坪) |
築年数 | 50年 | 工事期間 | 40日間(住みながら) |
工事内容
解体撤去工事・梁補強工事・天井工事・床下地工事・フローリング工事・床断熱工事・玄関セットバック工事・巾木・壁工事・階段・内装建具・ニッチ棚・採光窓・内装工事・クロス工事・電気工事・その他